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2007.12.05 Wednesday

アジア・太平洋水サミット開幕、地域の水害対策を協議

このニュースのキモは、実は記事のリード部分には全く書かれていない。因みにこの記事のリードには、『アジア太平洋各国の代表が、水不足の解決や水関連の災害・疾病対策などを協議する…』とあるが、今回の水サミットの裏テーマ、実質的な、即応性のある議題はここには書かれていない『水の民営化』である。サミット開催に前後して、これをテーマにした分科会や報告会などがいくつかのNPOらによって全国各地で催されていそうだが、是非ともこうしたテーマを主要メディアにもブロウアップして欲しいと切に願うばかりである。

しかし、水サミットでナンデ民営化問題?と疑問に思われるかもしれないが、今、世界の趨勢を見るに『水』の商品化、経済化、民営化、私有化、寡占化が世界各地で同時に起きている最中であり、そしてその後遺症が世界中でこれまた同時多発的に起きているからである。

この問題をジックリと腰をすえてリポートしている竹山氏のサイトから引用させていただくが『水の経済化』の出発点は1992年のダブリン宣言なるものとされているようだ。そのでの会議では以下の4つが提言された。

1 水資源は有限な資源である
2 水資源開発・管理は参加型アプローチに基づくべきである
3 水供給、管理、保全において、女性は中心的な役割を果たす
4 水は経済的な価値を有し、経済財として認識されるべきである

この宣言で注目すべきは1と4。単純に1と4を結びつければ、水資源は限りある貴重なものであり、それを所持するにはコストが掛かる。そしてそのコストを負担する事を我々は認識しなければならない。という話しになろう。こうして聞くと至極真っ当な話に聞こえるかもしれないが、これを下世話に言い換えると、今までは水は人類が共有する公共資源であったがこれからは、消費財として対価を支払わなければ、それを有する事は出来ない、という話しになるのである。

こうして言い換えてみると『水の民営化』と読んでいる問題のポイントがうっすらと見えてくるだろう。私が良く言うプラザ合意以降に起きた『グローバル経済台風』の渦は、効率化、コストカットの名の元で政府組織の縮小化を命題として、ありとあらゆる公共財を民営化=私有化、して行った。規制緩和と経済のボーダレス化、そして公共財の私有化、これが90年代、欧米の大手資本力から端を発して世界中で巻き起きた経済のグローバリゼイションの本質だ。

こうしたうねりは、本来なら安全保障の面から見て絶対に公共的な役割を奪ってはいけない農業や防衛という分野にまでその流れは到達し遂には戦争までもが民営化される世の中になった。アメリカの反戦団体が徴兵制の復活を唱える理由は正にここで、最近の戦争では民間の戦争請負会社が、貧困層の若者を兵士としてリクルートし戦場に送り込んでいる現状を見て、為政者らが軍事介入への躊躇が無くなった事を懸念し、例外なき国民総徴兵制(議員の子息や高給取りの企業の息子の例外なく)を導入する事で、安易な軍事介入を防ぐという意味がある。

さてこうした公共財民営化の動きといえば、最近の我が国でも「郵政私有化」という形で起きたが国鉄、三公社五現業の私有化もこのような世界的な流れの中で起きたと見るとその本質が透けて見える可能性も生まれよう。さて話を今日のエントリの本題である水に戻すが、世界で起きている水の民営化の流れは一体どのような結果を齎せているのか。その問題点を上記の竹山氏のサイトではこう簡略化して記している。

○利潤追求が第一目的となり、収益が事業に再投資されない。概ね売り上げは株主への配当や企業内留保に回る。

○利潤を追求するために貧困層や地方部などの過疎地域が事業構想から省かれる。効率化が最優先される為に使用料金の実質的な値上げ、そして不払い者へのサービス提供を停止するのと同時に、その逆に金払い良く大量消費する産業へ水資源が集中していく。その結果、農村部では小規模農家などが疲弊し淘汰され生活基盤が崩壊、全ては大規模業業方農業へと移行していく。商業地域でも同様な傾向になる。コスト削減が命題とされるために雇用や安全や水質に問題が生じ社員間での技術継承が行われない

○参加企業が多国籍化すると、その会社に関する情報が現地の人々には極めてつかみにくくなり、そうしたことによりチェック監視体制が緩み、契約にからむ汚職が増大する。竹山氏はサイトの中で『多国籍企業が入ってくる場合には、情報公開が問題になる。企業が汚職をしていないかどうか。企業は株主には情報公開する。しかし、金を支払わせる肝腎の地方コミュニティーには情報公開しない傾向になる』と指摘しているが、相手が公的機関でなければ情報公開法の埒外になるのは自明であろう。

○皮肉にも民営化することで外資への利潤保証や優遇政策、および為替差損の補填等が発生し新たな行政コストと料金アップがされる事がある。水道を停止された人々への水資源の供給、事故や伝染病発生した際の対応など、そうしたレアな事が起きた場合に生じるリスクは、自治体や国が引き受けねばならない事が多い(概ねそう言う契約をする)

○そしてここが一番の問題であるが、の民間企業が撤退すれば、サービス提供や事業の再構築に掛かるコストを結局は地元自治体や国が負わされるハメになる。


こうして見るとこうした例は特殊であり、我が国では絶対に起きない絵空事だと思われているかもしれないが、南米やアフリカでは国際的な水関連企業が様々な国で利益を貪り尽くし、散々食い荒らした後に、利益が取れなくなると見るや撤退し、その土地の生活基盤を根こそぎぶっ壊すという状況が、今現在進行形で起きている。実はこうした出来事は発展途上国だけでなくアメリカ国内でも発生していてアメリカの西部や南部の州で起きた事例もある。直近では2003年にアトランタで州の水資源の管理を担っていた企業が利益確保が侭ならず突如撤退し市民生活に大きな混乱を引き起こしたこともある。

今、水関連企業はそのターゲットをアジア地域に移しているというが、我が国でも官僚や新自由主義経済信奉者らによって水道事業の民営化=私有化、がいつ何時起きるとも限らない。上に書いた水の民営化による失敗事例をよく読むと、そのまま郵政民営化や国鉄民営化で生じた問題と良く似ているのがお分かりになろうかと思われる。

何か問題が起きると直ぐに制度が悪いとして、全体像の構想力や設計能力が無いにもかかわらず制度を壊して弄繰り回した挙げ句に、前よりも更に悪い状況を作り出すという事を我が国は繰り返してきた。一番の悪例は選挙制度改革だろう。政治と金の問題を解決するために何故か選挙制度を変えるという話しになり、もっと金の掛かる、民意が反映しにくい、死票が多く発生する小選挙区比例代表並立制なる最悪の制度を導入して、今も尚政治と金の問題が起きているんだから何をか況やである。

郵政の民営化も同じで、最初は財政投融資改革の先鞭となるはずだったのが、何故かその問題は棚上げされて、利益性や効率性が薄くなる様な分社化をして、職員の労働意欲は殺がれ、ひいては郵政事業全体のサービスの低下を招きつつあるという最悪のパターンを辿っている最中である。

概ねこの手の問題は、底の浅い御用学者とそれの受け売りしかできない浅薄なジャーナリストやタレント司会者らの手によってメディアで我々が洗脳されてしまうのが常である。今起きている消費税増税論議も全く同じ過程を経ているが、いつになったらこうした悪夢のサイクルから我々は抜け出す事が出来るのだろうか?
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